Google Mapに名のない川のまつり
先日のこと、入り組んだ路地を車で通っていると、真正面に河童が現れ、度肝を抜かれました。
制作された地域の方々はそういったつもりはないのでしょうが、運転しながらチラ見したとき、私には河童が首をつっているように見えたのです。
また、さらに驚いたことは、「合志川まつり」とあるので、用水路と思ったのは実は「川」だということです。河童その他は川の上に祀られています。
河童の藁人形があったのは次の地図の点線の赤丸で示したところ。
Google Mapには川の名は記載されていませんが、この川のことをこの辺り熊本市南区合志地区の方は「合志川」と呼んでおられることを河童の藁人形から教えてもらいました。
川の前方には公民館があります。横には神社。神社はGoogle Mapには掲載されていませんが、「菅原神社」という名が写真で確認できます。
公民館や神社が拠点に地域の人が集い、川まつりは開催されているのだろうと思いました。
現在はコンクリートで川岸が固められ、用水路のようになっていますが、昔はこれは小川だったのでしょう。
川における河童伝説は至る所で聞きます。しかし、こんなにも小さな川で、そしてこの辺りは都市化が進んでいるのに関わらず(すぐ近くは西熊本駅)、今もこうした祭りが継続されていることに驚きました。
突然車の前方に現れた河童の藁人形に驚き、そしてそこで立ち止まり考えていると、都市化に抗い地域の祭りが継続していることにはもっと驚きました。
小さな小さな地域の祭りは、ネットで検索しても出てきません。PRする必要性を感じない地域のための地域の人たちによる祭りだからでしょう。
こうした地域の祭りは消滅していく傾向にあるはずです。
私が幼少期を過ごした地域の祭りは随分前に消滅しました。記録は残っていません。どういった祭りだったか、記憶も薄れてしまいました。
消滅する前に何らかの形で記録でも残しておきたいものです。
地域の祭りが持つチカラ
地域の小さな祭りに目に留まったのは、明日(2025/7/19)、玉名市主催の玉名未来づくり研究所で「地域の祭りが持つチカラ」というテーマでミニ講義を行う予定で、そのためにこれまで祭り、特に地域の小さな祭りについて色々と調べていたからです。
そのひとつがスリランカの悪魔祓いという儀式です。
これは、日程が決まっている定例で行う形式の祭りではなく不定期ですが、村人総出で行い、非日常を地域を作り出すという意味で祭りと言ってよいものです。
悪魔祓いの重要な機能は、地域の人々のつながりを作り直し、それを深めていく働きをもっている点です。
地域の祭りとは基本的にそうした機能を大なり小なり持っているのだと思います。
合志川まつりの河童を見て、スライドを作り終わっていた悪魔祓いの踊り手の雰囲気とどこかしら似ている感じがして、それでなおさらこの川まつりに興味を惹かれたように思います。
地域に非日常をもたらす祭りは上で述べた機能を持っています。そして、この機能はコミュニティの絆を深めるだけでなく、防災とすごく相性がよいこともわかっています。
そう考えると、地域で開催されている小さな祭りは地域の人たちに対して大事な意味を持っていることがわかります。
玉名未来づくり研究所に参加する高校生たちにその視点を提供し、祭りという切り口でもって地域の問題を半年間という期間で考えていってもらたいと思っています。
全くの専門外でしたが、10年以上前から祭りに興味を持ち、不定期に勉強していました。
退職後は地域の小さな祭りを取材してまわり記録していこうかと思っていたぐらいです。この計画はいまだに着手しておりませんが、随分前にもった興味を持ち学んでいた知識がこんなところで使うことになるとは思いもしませんでした。何事も無駄なことはないということでしょう。
夏は地域の小さな祭りがあちこちで
夏のこの時期、特に夏休みが始まると、地域のあちこちで一般的ではない地域固有の名もなき祭りが行われているかと思います。
道路脇のコミュニティ掲示板をみると「妖怪幽霊祭り」というのが熊本市中央区新町のお寺の開催されるとの案内が貼ってありました。
さっそく歩いて行ってみるとこのお寺のようです。のぼりが立っていました。
どういうきっかけでこうした祭りが始まったのでしょう? またいつからやっているのでしょう。新興住宅地にはこの手の祭りはなさそうです。お寺があちこちにある新町地区だからではないかと思います。大変興味深い。休業した長崎次郎書店で同時開催とあり、長崎次郎書店が活用される点も大変興味深い。
休業中の長崎次郎書店(長崎次郎書店の休業2024/5/22)
ショーウィンドウには祭りについてのポスター類が掲示されていました。
ガラス越しに覗くと、片づけられた店内には椅子が並べてあり、怪談話の準備はできているようでした。
時間的、体力的に計画倒れになりそうですが、出来るだけ、こうした小さな地域の祭りなども実際に見て回り、地域の姿のひとつとして記録に残す活動をしてみたい。