2024年7月6日土曜日

坂道の風景~急勾配の棒庵坂

熊本城内に上る坂はいくつかありますが(先日、紹介した砂薬師坂はそのひとつです)、その中でも最も勾配がきついのが棒庵(ぼうあん)坂だろうと思います。
名前の由来、そしてこの坂は防衛上重要な意味を持っていたなどは、坂の下の案内板で紹介されています。
撮影場所:32.80783509032624, 130.7057670533124

写真では分かりにくいですが、そこに立つと、見上げるようなかなりの勾配です。
街中から新町方面に熊本城内を突っ切って近道をしようと思えば棒庵坂を上ることになり、そういった近道派の人たちにとってはこの坂はけっこうな難所ではないかと思います。

Apple Watchで測ってみると、坂を上り切るまでに、
  距離100m、高低差13m
という結果でした。これから勾配の角度を見積もるとだいたい7.5度ぐらいになります。
数値だけみると大したことはないように思えますが、家内が「え、ここを上るの!?」と言うぐらいでしたので、普通の感覚だとかなりの急勾配です。

坂を上り、上り切ってから、二の丸広場入口まで(動画)
2024/7/6撮影

前から思っていましたが、棒庵坂は石段ではなく、なぜスロープなのでしょう?
荷車などでの資材、荷物の運搬を考えてのことだったのでしょうか? ただ、それにしても側方に人間が必要な幅ぐらいの石段を設けていてくれると、人の上り下りはもう少し楽だったでしょうに・・・。

坂を上り切ると石材置き場を見渡せます。
熊本地震で崩落した石材を保管している場所です。これらの石材はすべて番号が付されていて修復の過程で元の場所に戻されていくということです。気が遠くなりそうです。


別日、2024年7月6日の早朝に散歩していると、棒庵坂を自転車でやってくる高校生にたくさん出会いました。
最初にみかけた高校生は、棒庵坂を自転車をこいで上がってくるので、家内が声を上げておりましたが、上がってきたところでよくよく見てみたら「電動アシスト自転車」でした。
なんともものすごい高校生だと思いながら眺めていたわけですが、それは間違いでした。ただ、高校生も電動自転車を使っている時代なんだなと、謎が解けた後はそっちが驚きでした。
もっとも、続々と上っている高校生の多くは普通の自転車でした。それらの高校生はどんな屈強な高校生も確実に押して上ってきておりました。
さすがに7.5度の勾配を普通の自転車で登ってこれる人はそういないようです。

自転車を押してくる高校生たちはすべて野球のユニフォーム姿でした。
今日から、二の丸広場の先にある藤崎台球場で、甲子園の熊本予選が始まったようです。
空には入道雲も見るようになりました。
夏が来ました。


球児とは異なる別の高校生集団が棒庵坂にいます。
棒庵坂を下から何度もダッシュで駆け上がってくるではありませんか。
YONEXのTシャツで、あまり日焼けをしていないようです。おそらくバドミントンの選手たちなのだろう思われます。
あの急勾配を駆け上がってくるのですから、高校生のパワーには驚きます。

棒庵坂をダッシュしている女子高生たちは、おそらく近隣の高校の生徒さんでしょう。
もしそうだとするとオリンピック選手も輩出している高校なので、それらの方々も高校生の頃に、この棒庵坂で毎朝トレーニングをされていたのかもしれません。
他に、長距離のトレーニングをしている高校生も見かけました。スピードに腰を抜かすほど驚きました。カモシカが走り抜けていった感じでした。

棒庵坂は、侍の時代、若侍たちにとっても鍛練のための大事な場所であったのかもと想像をたくましくしてみました。ただ、当時は門があり番所も設けられていたので、鍛練の場には不向きだったかもしれません。
今現在、その棒庵坂、現代の若いアスリートたちの鍛錬の場として貴重な役割を担っているようです。